楽器|HISTORY
さて、今回の”気になる楽器の紹介”では、”HISTORY”というブランドのギターをご紹介します。MartinやGibsonは知っていてもHISTORYのことは知らないという方も多いかもしれません。
でも実はHISTORYは、あの島村楽器が全力でプロデュースするオリジナル・ブランドの最高峰のギター。
前回の取材の折に、その想像以上の実力に少しばかり興奮した記憶があります。今回は、島村楽器イオンモール甲府昭和店さんのご好意で2本のHISTORYを試奏する機会をいただきました。それでは、さっそくレポートしてまいります!
島村楽器が考える最高のアコースティックギターは、タダモノではなかった!
「良いギターをつくるために一切の妥協はせず、良いアコギを目指して必要なことをすべて注ぎ込んでます」
島村楽器イオンモール甲府昭和店の、若きギター・コンシェルジュの言葉を思い出すHISTORYのギター。
さっそくギターケースを開けてみると…
美しい2本のHISTORYが登場~。ダンゼン期待感が高まります。
そう、今回試奏するギターは2本。少し小振りな ナチュラル・ボディのNT-S3(以降”S3″)と、取材の際に少しばかり興奮したカッタウェイ・シェイプを持つ ブラックのNT-C3(以降”C3″)となります。
C3はこのギターです!
フィンガースタイル向けとのことですが、どうしても個人的にはロックな感じがしてしまうC3。実はナチュラル色もありますが、今回はブラック! そのブラックは良く見ると微かにシースルー。光の加減によって微妙に印象が変化する感じです。鏡面仕上げのため、このように部屋の電子ドラムが写り込んでしまうほどの輝きです(笑)
そしてシンプルな印象なS3は、なんとも作りが丁寧。例えば、ネックのバインディングはナチュラルな木の良さを生かしてこんな感じ。聞くところによると、美しさだけでなく、音の伝達性を考えての素材選びだそう。
さらに、幾つかの独特の技術も使われています。そのうち特にユニークと思われる二つをご紹介すると…
①サークル・フレッティング・システム(C.F.S.)
従来直線のフレットを円弧状に打ち込むことで、ナットから最終フレットまでの弦長を全ての弦で同一となるようにした画期的なシステム。正確な音程感と立ち上がりの良さにより美しい響きが得られるそう。この図は分かりやすくカーブさせていますが、実際はとても自然です。
②シームレス・VUネック・グリップ
ローポジションではコードワークを考慮したソフトVシェイプ、ハイポジションではテクニカルなフィンガリングをサポートするUシェイプを採用。ナット側からボディ側にシームレスに変化させることで、自然と手に馴染むグリップ感を実現しています。ほんとに自然で握りやすいです。
初めてHISTORYを手にした時に、「これ弾きやすい!」と感じた裏には、こんなアイディアが導入されていたのですね。それでは1本ずつご紹介いたします。
■将来のKing&Queenの予感。正統派の実力を伸ばす楽しみ。
まずはナチュラル・ボディが美しいS3から弾いてみます。材はS3もC3もトップがシトカスプルース単板、サイド&バックがローズウッド単板です。
最初にびっくりしたのは、その鳴りの良さ。いわゆるOMタイプのやや小柄なボディ全体で鳴っている感じでしょうか。実はこのモデルのネックは、マホガニーのセンターにウォールナットをサンドした3ピース構造。それが鳴りに一役買っているのかもしれません。ジャラーンという音も綺麗です。
サウンドは音の立ち上がりが早く、ハッキリとした明るい音。でも軽い音ではなく、深みもあります。すでに完成度が高いギターですが、弾き込めば弾き込むほど自分の音になっていく資質を感じます。
ストロークもOKなのでいろんなジャンルがいけそうですが、ひとまず一番合っていそうなバラード風アルペジオで少し弾いてみます。
次になぜかロックな感じがしてしまうC3をご紹介します。
実際に弾いてみると、確かにフィンガースタイルに合いそうな感じがしてきました。ちなみに左の写真には葉っぱや雲が写り込んでおりますのでお間違いなく(笑)。恐るべし鏡面仕上げ…。
サウンドは少し引いた感じの独特の音色。特に低音が絶妙。それでいて、しっかりと全弦バランスがとれている感じ。ジャラーンと鳴らすと、どちらかというと柔らかい音のS3に比べて、C3は芯がしっかりしている印象があります。
それと細かいですがスライドがきれいにキマる気が。やはりサークル・フレッティング・システムの好影響かもしれません。チューニングも安定していますし、この完成度なら仕事でも十分に使えるレベルだと思います。それではアルペジオとストロークを交ぜて少し弾いてみます!
そして、
実はC3にはピックアップが内蔵されていて、この実力がなかなかのもの。さすがに生との違いはありますが、いわゆるピエゾ臭さはあまりなく、自然でやさしい音の印象です。出力は、あえて控えめにセッティングされているようです。
最後にアンプに通して鳴らしてみますので参考にしてください。
さて、HISTORYはいかがででしたでしょうか。
弾き始めから安定していて、弾き込むことでMartinでもGibsonでもない、”自分だけの音に育てられる”。HISTORYはそんなギターだと感じました。
この価格帯には、他にも選択肢はあると思いますが、比較検討のリストには入れても申し分ないでしょう。
いずれにしても好みや感じ方は人それぞれですので、ぜひお近くの島村楽器で試してみてください~。それでは、次回もお楽しみに!
協力:島村楽器イオンモール甲府昭和店
※今回ご紹介したギターの詳しい内容については島村楽器のWebサイトまたは店頭でご確認ください。
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HISTORYシリーズの紹介ページ
※写真はイメージ的に撮影したものですので、実際の色やディテールは楽器店でお確かめください。