RimShotメイン写真

「若い方から年配の方まで楽しく凄い世界があるってことを知って欲しいんです」

[2013.8.9UP]

今回のギターショップ探訪は、東京・神保町のヴィンテージギター専門店RimShotにお邪魔した。同店は2009年に活動再開を発表し、2013年も全国47都道府県をツアー中の”アリス”のドラマー、キンちゃんこと、矢沢透さんがオーナーのショップだ。

アリスといえば、谷村新司さんがGibson DOVEを弾いていたことを思い出す。あのナチュラルのDOVEから繰り出されるギターサウンドに、どうなっているんだろう…と、夢のような憧れをもったものだ。Morrisを買った経緯はあらためて語るまでもない。

さて地下鉄の神保町駅からすぐのところにその店はあった。本の発信地として知られる神保町カルチャーにどこか沿った雰囲気を感じさせる店内だ。

「若い方から年配の方まで、楽しく凄い世界があるってことを知って欲しいんです」と、店長の田安さん。爽やかな笑顔が印象的な好青年だ。実は田安さんのブログで、
“国民的ギターショップを目指しています”という言葉が印象的だったので、その意味をそれとなく伺った。なるほど~である。

4つの部屋に間仕切りされたスペースには、GibsonやMartinはもちろん、CollingsやOvation…、そしてYAMAHAなどの国産ギターが整理されて並んでいる。すべてヴィンテージやUSEDだ。人気は50~60年代製で、戦前のギターも希少で注目度が高い。

今ある中でおすすめのGibsonを伺うと、

「そうですね。レアで面白いものだとこちらでしょうか」。手にしたのはGibson CF-100E渋いサンバーストの’57年製だ。少し弾かせていただくとGibsonらしいシャキシャキ感に加えて、深みや柔らかさもしっかり。シングルコイルのピックアップとカッタウェイ。当時としては、相当に革新的なモデルだったことがわかる。

ちなみにヴィンテージギターの価格は、希少性や製作年はもちろん、傷も含めた全体の状態、演奏性など様々な要素から決まる。その際、ピックアップのためのエンドピンの穴や、新たにストラップピンがあったりするとコレクター的には価値は下がる。その分、価格が下がるのだ。

でももしライブで使う予定があれば、逆に狙い目かも…しれない。新たに穴を開けるプレッシャーもないし(笑)。もちろん、好みがあるので一概にはいえないけど。

勢いに乗ってGibson DOVEを弾かせていただく。’68年製のナチュラルモデルだ。

Gibson DOVE 68年製の写真
60年代の素晴らしいコンディションのDOVE。チューンOマチック特有の歯切れのよいジャキジャキ感が、強くギブソンを感じさせる。まさにギブソンを象徴する音の1本だ。

チューニングをしながら、さりげなく「DOVEはギブソンらしさが強く出ています。このモデルにしかない独自の響きがあるのですよ」と田安さん。 弾いてみると、「これだこれ、この音」というワクワク感。低音がズンと出て、しかも独特なジャキジャキッとしたサウンド。サイド&バックがメイプルで、チューンOマチックという金属製のブリッジが、サウンドを仕上げているのだ。

指とピックの両方で弾いたが、正直どちらで弾いてもDOVEの個性が強くて音があまり変わらない印象(笑)。これは欲しい1本。ステージで思いっきりストロークをしたいものだ。そして歌ってみたい。DOVEがドンシャリなので、中域である人の声がマッチすると思うのだ。

どちらのギターもスッと弾きやすかったので、そのあたりをお伺いすると…、
「サウンド、演奏性には特にこだわっていますね。いくら音が良くても弾きづらいとやっぱりストレスになりますし、弾けばさらに伸びますから」

RimShotでは調整してからギターを陳列するが、その調整具合は1本ずつ異なる。簡単にいうと、ギターの良いところを引き出してあげる作業と田安さん。特に弦高は各自の好みがある上に、高さにより音まで変わってしまう。そこでまずは、ギターが喜んでいる、つまりはギターにあった音質、弦高となるように心がけているそうだ。

そんな話を伺いながら、最後に、取材中ずっと気になっていたMartin 00-18を弾かせていただいた。1945年製の小振りなMartinだ。色がいい感じだし、なぜかとても気になっていた。

Martin 00-18 '45年製
Martin 00-18 1945年製。その佇まいを含め、存在自体がとにかく気になっていた1本。

弾いてみて驚いた。

ストレートに表現すると「良く鳴る! 枯れてる! いい感じ!」だろうか。フレーズを弾いてもグイッと引き立つし、とにかくボデイサイズの割に音がでかい。”もうこれ以上枯れることはできない”というほど仕上がっている、これは欲しい1本だ~!

というところで時間が来てしまい冷静に戻ったのだが…。実は、この他にも’66年製のMartin D-28を弾かせていただき堪能。もう、それぞれ優れた個性があり、まさに甲乙つけがたい。少し茫然としていると、状況を察知した田安さんが「ギブソンを弾いてマーチンを誇れるし、マーチンを弾いてギブソンを誇れる」と的確な言葉。きっとヴィンテージギターの魅力にとりつかれた人たちの心境なのだろう。その通り、両方欲しい、全部欲しい。そんな気持ちになるが、なんとか心を落ち着かせる…

途中すっと出た田安さんの言葉、「いろんな楽しみ方ってあるのですが、買う買わないとかは別で、触れてもらうだけでもいいんですよ。それはギター達にとっても嬉しいことなんです」

今回の取材を通して、国民的ギターショップを目指したいという、その言葉を裏付けるような親しみやすい印象を持ったが、それを象徴するワードに感じ心に残った。

また友達を連れて気軽に遊びに行こう~。

(取材  望月成恭)

RimShot店長の田安さん
RimShot 店長 田安正典さん:愛媛県出身。海と山の町で育つ。初めてのギターは吉田拓郎好きなお父さんのYAMAHA FG-150。GibsonやMartinは憧れだったので、初めて手にした時は震えたそう。ギターとRimShotへの熱い思いを持つ、爽やかな熱血漢だ。

[所在地]
RimShot
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-32 ひさやビル1F
TEL :03-3518-2528
WEB:http://www.rim-guitars.com/
営業時間:11:00~20:00 日曜日のみ11:00~19:00
定  休:毎週水曜日

都営地下鉄、東京メトロ半蔵門線「神保町」駅より徒歩2分/ JR御茶ノ水駅・水道橋駅より徒歩約8分
※駐車場は周辺のコインパーキングをご利用ください。

※ここに紹介したギターは、在庫商品の一例として2013年8月5日時点の情報で作成されています。価格変更や販売済みの場合がありますので詳しくはショップのHPでご確認ください。

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